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声が聞きたい(火神←黄瀬) 目的と手段が完全に逆転してしまっていたのは、一体いつからだったのだろう。 「もしもし火神っち?今大丈夫?」 『…んだよ黄瀬かよ、何か用か?』 「いや〜別に用って程の用は無いんスけどね」 『無ぇのかよ…』 「用…?あっ…そうだ!明日って誠凛練習休みっスよね?どっか遊び行かねっスか?」 『はぁ!?いきなり何言い出すんだよ、つかお前それ今思い付いたろ!?』 「え、ダメ?」 『ダメとかそれ以前の問題だろ、お前の大好きな黒子でも誘えばいいじゃねぇか…』 「そんな、黒子っちにこんなワガママ言えないっス」 『俺ならいいのかよ!』 「火神っちならっていうか、むしろ火神っちにしか言わないっスよ」 『………大、迷、惑、だ』 「…え〜酷いっスよ火神っち〜」 『酷いのはどっちだよ酷いのは』 携帯越しに呆れた様に嘆息する火神の吐息が聞こえて、思わず笑いが漏れてしまう。 本当に、用など無かったのだ。遊びの誘いは彼の言う様に完全な後付けで。 ただ…声が、聞きたかっただけで。 火神が自分と会話してくれる、それだけでこんなに笑みが溢れて止まらないくらい、嬉しい。 初めは”いつも黒子の隣に居る”という、ただそれだけの存在だった。 彼とも仲良くする様にしたのも、そのせいだ。 黒子が信頼する彼を、自分も信用する。 そうする事で、そういう”振り”をしておく事で、変わって行く彼をどうにか繋ぎ止めておこうとしていた。 だが一度試合をして彼の凄さを目の当たりにしてからは、彼個人にも一目置く様になっていて。 そして…いつの間にか、黒子の隣に彼の姿が無いと落ち着かなくなっていた。 待ち合わせ場所に黒子1人しか来ていないと、わざわざ電話で呼び出してしまったりなどして。 何の為に度々誠凛まで足を運んでいるのかも、正直よく分からないレベルになってしまっていたのだ。 「…う〜ん、まぁ俺もワガママっスけど、火神っちも結構酷いっスよね」 『は?何でだよ?どう考えてもお前の方が酷いだろ』 (いやいや…鈍さで言ったらあんたの方が断然酷いから!) 彼は未だ、何も気付かない。 自分としてはかなりあからさまにアピールしているつもりではあるが、 そもそも色恋関係自体に興味が薄そうであるし、そんな相手によりにもよって”同性からのフラグに気付け”という方が無謀なのかもしれない。 自分自身がそういった対象になっているという事自体を、まず想像すらしていないのではないか。 ならば…いっそ、告白でもしてやればいいのか。 誰がどう聞いても愛の告白だと分かる様な、強烈に甘くてド直球なのを首根っこでも掴んで一発ぶちかましてやらないと、この相手には通用しない気がする。 正直そんなのキャラでは無いが、彼を手に入れる為に必要とあらば、それも仕方が無い。 こっ恥ずかしくても、みっともなくても、どんな手段だって使ってやる。 目的と手段が完全に逆転してしまっていたのは、一体いつからだったのだろう。 彼の声を聞きたくて居ても立ってもいられなくなってしまっていたのは…一体、いつからだったのだろう。
本館SSSブログ初出:2012/01/15
分館再録:2012/06/22 愛なんて知らない(緑間×高尾) 好きだとか愛してるとか、そんな言葉が欲しい訳じゃない。 ただあいつの気配を感じるだけで身体の芯が熱く火照って来て、 力任せに抱き竦められてそのままめちゃめちゃに壊されてしまいたいという、 そんな激烈な衝動が全身を物凄い速度で駆け巡るだけなのだ。 それは全身の制御を奪い呼吸をも詰まらせて、余りの苦痛に思わず絶叫したくなる程の、衝動。 愛とか恋とか、そんな高尚な感情なんかじゃ決して無い。 限り無く獣じみた、原始的な本能。言葉なんか要らないし、どんな酷い事をされたって構わない。 何なら、いっそ殺して欲しいとさえ思うのだ。 あの冷ややかな目に俺だけが映って、そこにちいさな炎が灯るその瞬間を見れたなら、 もう俺はそのまま死んだって構わない。
本館SSSブログ初出:2011/11/14
分館再録:2012/06/22 |